この記事の監修者
医師・医学博士、ウルセラ認定医
東京慈恵会医科大学医学部医学科 卒業
日々、研鑽しています。
最も信頼され、感謝されるクリニックでありたいです。
ボツリヌス菌の作り出すボツリヌス毒素(天然のタンパク質)を有効成分とする薬剤です。
毒素を取り除いているため、毒素による危険性やボツリヌス菌に感染する危険はありません。
ボトックスは美容以外に、上肢・下肢痙縮,眼瞼痙攣,片側顔面痙攣,原発性腋窩多汗症などの 疾患に対する治療として使用されています。これらの疾患に対してのボトックス治療は保険適用となっていますが、当院では自費でのみ行っているため、申し訳ありませんが上記の疾患などで保険内治療を希望される方は、保険診療を行っている医療機関へご相談ください。
ボトックスといえばシワですよね。
まずはボトックス適応の代表的なシワについてお話ししていきます。
ボトックスを表情ジワを形成する表情筋に注射することによって、筋肉の収縮を抑制し、一定期間表情ジワを改善します。シワには乾燥による小ジワ,加齢と光老化による大ジワ,表情筋の収縮による表情ジワがあります。この3つのシワについてそれぞれ詳しく説明していきます📚
小ジワは表皮と真皮の異常で生じます。年齢を重ねると、表皮の中の角層では水分を保持する機能が落ち、皮膚の水分量が減少します。また長年の紫外線によるダメージにより真皮にある線維が変性し、皮膚のハリがなくなります。これらの変化により、皮膚に折れ目ができたものが小ジワです。
加齢により、皮膚は萎縮します、特に真皮では、膠原繊維、弾性線維、細胞間基質といった皮膚の支えとなる部分が減少します。特に紫外線によるダメージを受けた弾性線維は本来の機能を発揮できない構造に変化し、皮膚そのものの重さを支えきれなくなると大ジワになります。大ジワがさらに進むとたるみになります。
表情ジワは笑ったり、驚いたりといった表情をつくる際に現れるしわです。笑った時には目尻に、驚いたり時には額にでます。その他には、口をすぼめた時にいわゆる「梅干しシワ」が顎にでる方もいます。
お顔にある表情筋が動くと、その上の皮膚が収縮してシワとしてみえます。これらの表情ジワはボトックスにより筋肉の収縮を緩めると改善します。
次は表情ジワの程度分類について説明していきます📝シワの分類は、平常時(表情筋静止時)と表情筋緊張時の両方で評価され、軽いものからGrade1~3に分類されます。
ここからはシワ以外のボトックス適応の部位について説明していきます。
エラには咬筋という下顎を挙上させる強力な骨格筋があります。この咬筋が発達するとエラが張って見えてしまいます。咬筋の発達要因として、歯の食いしばりや歯ぎしりの習慣,抜歯,齲歯などが考えられます。この咬筋にボトックスを打つことで筋肉の動きを弱め、筋肉を細くします。これにより、歯ぎしりや嚙み締め癖の改善が期待できます。
保険適用の疾患で説明しました、原発性腋窩多汗症に対しての保険内ボトックスは、当院では行っていませんが、診断はついてないけれど夏場の汗が気になる…💦といった方などに、発汗を抑える目的でボトックス注射を行っています。発汗に関係するエクリン汗腺に作用はしますが、腋臭症(ワキガ)に関係するアポクリン汗腺への適応は無いとされているため、腋臭症の改善には効果が期待できません。しかし、わきボトックスによって腋臭や衣服の黄ばみが軽減される症例が多く認められています。これは発汗量そのものが減ることで、アポクリン汗腺内の蛋白などの分解や分解によって生じる分解産物のニオイが軽減するためではないかと考えられています💡
腓腹筋という筋肉の内側が発達することが、ふくらはぎの張り出しの主な原因となっています。エラ同様筋肉を直接ターゲットとしてボトックスを注射します。ふくらはぎの場合、腓腹筋の下にあるヒラメ筋の張り出しが目立つ場合は腓腹筋がボトックスにより弛緩することで、ヒラメ筋の張り出しが余計に目立ってしまうことがあるため、事前のカウンセリングで適応かどうかしっかりと診察を行います🔍
筋肉を動かすためにはアセチルコリンという伝達物質が重要であり、ボトックスはこのアセチルコリンの放出を抑制します。それにより筋肉の動きを少し弱めてあげるイメージです。このアセチルコリンは汗の分泌などにも関わっており、ボトックスはシワだけでなく発汗抑制の効果もあります。
部位ごとによって効果の出方が少し異なるため、3つに分けて説明していきます。
ネットでは、芸能人の方がボトックスをしたんじゃないか、そのせいで皮膚がボコボコして見えるのではないか、などボトックスの失敗について書かれているものをよくみかけるように思います😧
芸能人ご本人がボトックスの失敗談を語られている記事もあるようですね。
それではボトックスの主な副作用やダウンタイムについて説明していきます。
当院では34Gというとても細い針を使用していますが、それでも皮膚に針を刺しますので、内出血のリスクはあります。一カ所注入するごとに清潔なガーゼで圧迫止血を行い、全て注入後もしばらく圧迫し、なるべく 内出血のないよう処置にあたっています
額のボトックスでは目の開きが重くなったり(眼瞼下垂)、眉がつりあがってしまう(眉毛挙上)ケースがあります。主に、注入量が多すぎた場合や不適切な部位に注入した際に起こります。中にはこれらの副作用を利用して、窪み目を改善したり、眉を引き上げて若々しい印象になることを希望される患者様もいらっしゃいます。
これらの副作用が起きた場合、時間が経たないと根本的な改善は得られません。逆にいうと時間が経つと改善します。なお眉がつりあがった場合、額の外側にボトックスを少量追加注入することで早期に解決されることが多いです。
当院では表情不均衡のようなボトックスの重篤な副作用が出ないように、医師が患者様の個別性に合わせ、必要最低限の注入を行っていますので、ご安心下さい。
危険の無いよう最低限の注入のため、効果の実感が薄い方や物足りないと感じる方にはボトックス1回につき1度まで、10~2週間の間であれば無料で追加をさせて頂いております😌
ボトックス注入後は、安全に効果を得て頂くためにいくつかの注意事項があります。
今回のボトックスについてのお話は以上となります。
最後まで見て下さりありがとうございます!
今回お話しした部位以外にも、アゴやガミースマイルといった適応部位があります。
難しい言葉が多く分かりづらかったかと思いますが、
気になることがあればお気軽にご相談下さい😊
スタッフ一同、ご来院を心よりお待ち致しております。
参考文献:美容医療のボツリヌス治療 出版:診断と治療社