この記事の監修者
医師・医学博士、ウルセラ認定医
東京慈恵会医科大学医学部医学科 卒業
日々、研鑽しています。
最も信頼され、感謝されるクリニックでありたいです。
お顔は加齢により痩せていく傾向にありますが、瘦せるのは脂肪だけでなく、筋肉や骨など、肌を支える多くの組織に該当します。組織が痩せると、皮膚を支える力が弱まり、たるみが生じてきます。
特にほうれい線に関しては、頬のボリュームがたるみにより下垂してきたことが原因になることがあります。頬にボリュームがあるのは良いことですが、ボリュームのトップの位置が下がるとほうれい線が深くみえます。
原因が頬の下垂にある場合は、頬をリフトアップさせてほうれい線の方向に落ちてこないようにメンテナンスをすることが大切です。
切らないたるみ治療でリフトアップさせるには、 医療ハイフで筋膜(SMAS)へアプローチし引き上げる方法や、糸リフトで脂肪の層から引き上げる方法が有効です。
お顔のタイプによりますが、頬のボリュームが目立つことで、ほうれい線の深さが強調されて見える方の場合は、ボリュームをタイトニングさせることがほうれい線の改善に効果的です。
頬のボリュームが抑えられるとスッキリした印象になりますが、ほうれい線の深さも目立ちにくくなります。頬にボリュームがあると若々しい印象にはなりますが、他の部位とのバランスを見ることは大事なので、ボリュームをあえてダウンさせたり、引き締めたりすることがほうれい線を浅く見せるのに有効なこともあります。
切らないたるみ治療でタイトニングさせるには、高周波(RF)治療など、脂肪層まで深く熱を加える治療が有効です。
リフトアップやタイトニングは、ほうれい線そのものへの治療というよりは、周りの皮膚から筋膜にアプローチをかけ、ほうれい線を目立たなくする方法でした。
もう一つ代表的なほうれい線の治療としては、ヒアルロン酸などのフィラー注入で、ダイレクトにほうれい線の溝を埋めていく方法があります。たるみの関与がほとんどなく、元々ほうれい線が目立つ方や、シワとしてくっきり刻まれているタイプの方にはヒアルロン酸注入がお勧めです。
ほうれい線へのヒアルロン酸注入といっても、全体的にまんべんなく注入したり、ほうれい線の深さが目立つ付け根部分のみに注入したりと、様々な注入方法があります。
ほうれい線が深く見える原因の一つはたるみです。その為、たるみにくい肌を育てることも大切な予防対策の一つです。たるみにくい肌とは、潤いや弾力がしっかり備わっている状態で、外的刺激にも左右されにくい強い肌です。
スキンケアとしては、セラミドやヒアルロン酸など水分を肌内部に抱え込みとどめてくれる性質の成分や、レチノールなど、コラーゲンやエラスチンの生成を促進してくれる成分を取り入れることも肌のハリの強化に期待ができます。これらはたるみだけでなく、シワの予防にもなります。
お顔にはたくさんの筋肉があります。顔も体と一緒で、筋肉の衰えがたるみの原因になることがあります。表情を意識するなど簡単にできることでもいいので、適度に動かし、必要な筋肉は落とさないように心掛けることは大切です。
近年のマスク生活で改めて気づいた方も多いかもしれませんが、ほうれい線だけでなく、マリオネットラインなど、口元のたるみも筋肉量の減少が原因で出現することがあります。
美容皮膚科では、ボトックス注射で筋肉の働きを弱めたりする治療もあるので、時には筋肉の発達が邪魔になることもありますが、筋肉も肌を支えてくれる組織の一つですので、たるみ予防の観点では適度に動かしキープするように心がけましょう。
食事の時同じ方ばかりで噛んでいたり、寝るときに同じ方ばかりで寝ていたりする癖を長年継続していると、ほうれい線や口元のバランスにも影響が出ることがあります。
左右差が全くない人間はいないと思いますが、片側だけほうれい線が深い、口角の位置に左右差があるなどという方は、一度見直してみてもいいかもしれません。
ほうれい線やマリオネットラインの見え方以外にも、噛み癖はお顔の大きさに左右差が出たり、寝るときの癖はシミや肝斑に左右差ができたりと、意外なところで様々なお悩みの原因になっていることがあります。
ほうれい線が深く見える原因は様々ですが、機械治療やヒアルロン酸などのフィラー注入を上手に取り入れメンテナンスをすることで、十分改善が可能です。
機械治療でのリフトアップやタイトニングと、ヒアルロン酸などのフィラー注入は、治療の役割や効果が異なります。お肌の状態や、お悩みに合わせて各治療を選択していきますが、コンビネーション治療としてどちらも取り入れていただくのが、治療と予防の両方の観点からみても理想的といえます。